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ご飯・空手・渓の日記


by 4433yoshimi
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今年のキノコは豊作です

ホテル・ペニンシュラは、その昔、森瑤子の小説で憧れたものだった。香港の格式あるホテルだ。その支店が銀座にあるということは知っていたが、足を踏み入れることはないと思っていた。
そのペニンシュラで結婚パーティーをやるだなんて、すごいねAちゃん。30代の再婚同士のお披露目パーティーは、ごく普通の人たちの集まりで、食べ物がおいしくて、心温まる素敵な時間だった。24階からの夜景も素晴らしかったよ。
今年のキノコは豊作です_f0207325_2212392.jpg

翌日は奥多摩で吐渓とハイキング&キノコ。杉林ばかりの奥多摩は好みではないけれど、比較的、雑木林があるかと思われるコースを見つけて、訪れてみることにしたのだ。
通常は車での移動がほとんどだが、この日は電車。歩き始めて登山道をたどりながらキノコ散策。マイナーなコースのせいか、標識がない。二股のどちらを行くべきか、迷っているうちにコースから外れてしまった。しかし、この程度の低山ならいくら迷っても道路に降りられるから心配はない。稜線をたどって下ると、沢の側のアスファルトの道に降り立った。
「どこだろ、ここ」
登山地図を見ても、現在位置を把握できない。とりあえず道を下り方面にたどってみようと歩き始めると、ナラタケ発見。しかも、道の両端がナラタケの群生。まるで畑のようだ。もちろん採りきれるはずもなく、数回分だけを確保した。
そこから少し歩くと、予定の登山ルートが出現。ぐるりと回り込んでまた元に戻ってしまったようだ。ナラタケの群生は、登山道ができてすっかり廃道になってしまった道路に生えていたのだ。誰も訪れないからあれだけの群生になったのだろう。登山道では数カ所、ナラタケはあったものの、たぶん人に採られているせいか、それほどの量はなかった。人間の、自然への影響力は甚大なのだなあと実感。
今年のキノコは豊作です_f0207325_22124440.jpg
それから1週間後、栃木県の釣り仲間・E君のご案内で、福島県の山にキノコ探索へ。仙台から釣りの達人・森達雄さんも合流。毎年、数度は渓にご一緒しているのだが、今年は森さんに忌事があってかなわなかった。久しぶりの再開を祝って乾杯し、早朝、山へ。
実は私、数日前から、以前に傷めた背中がまた痛くなり、かなり不自由な体。ねじりやひねりが入ると背中に激痛が走る。しかしキノコを見ながらの楽々コースだから、と侮っていたのだが……。

シモフリシメジ、アイタケ、チャナメツムタケ、などをいただきながら結構な急傾斜を木の枝につかまりながら、ようよう山の上の大地へ。ほどなくして森さんが「ヤッター!」と絶叫。行ってみると、ホンシメジの見事な株が! こんな大きいのは見たことがない。来てよかった、と大喜びしていたら、案内人のE君がどんよりしていた。
「迷っちゃいました」
この山は、迷いやすいので有名だそうだ。今年、死人も出たという。いやはや…。しかし、森さんと吐渓とは、幾多の渓で迷ってきた仲間だ。まだ午前中だし、きっと夕方までには帰れるだろうと腹をくくった。
「こっちの方じゃないすかねえ」
おろおろしてるE君。
「いや、北に向かって出発したから、南に向かわないと」
と吐渓がiPhoneのコンパスを手にしながら方向指示。
「あっちの尾根を越えれば、車止めの側にあった沢があるんじゃねえのかなあ」
森さんが見当を付ける。越えなければならないのはふた尾根だった。知らないうちにずいぶん来たものだ。
「またやったべー、ホンシメジだあ!」
森さんの雄叫びが聞こえる。私は好物のチャナメツムタケやクリタケの採取に余念がない。いやはや、豊かな山である。ナラタケの群生に、ナメコの大群生にも遭遇して、笑いが止まらない。
でも、我々は依然として迷子状態。E君はキノコどころではなく、高い場所に登ったりして必至にルートを探っている。しかし、依然としてルートは不明。
「南に行くしかないんだよ」
「そうだっぺ。こっちゃだ」
吐渓と森さんが指示する方向に、誘われてしばらくすると沢が出現。
「これが車止めの側の沢じゃないかなあ」(森)
「だとよいねえ」(小峰)
「あー、チャナメ発見!」(よしみ)
E君以外はみんなのんびりしている。沢を下っていると、
「あー、ここだ、見覚えある。車止めの側の沢です」
とE君が安堵の声。
それはいいけれど、急斜面の上り下りのたびに背中の痛みに呻きながらの行程は、かなりつらかったのは事実である。でも、キノコは大量だった。やはり、迷わないとキノコの群生には出会えないらしい。
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車の近くまでに来ると、今年遭難された方への花が、沢に手向けられていた。危険な山なのだなあと改めて実感。
上りの1時間半の後、迷いながらの3時間半だった。通常の5時間よりはるかに疲れた。動かしたせいか、背中の痛みは少し軽減したけれど。

いやあ、うまいです。天然のキノコはうまいです。帰宅して数日は至福の食卓が続く。
by 4433yoshimi | 2010-10-17 22:13