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ご飯・空手・渓の日記


by 4433yoshimi
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髪をとかさない女

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昨日は空手の朝稽古で浅草へ。終了して中華屋「ぼたん」で冷やし中華を注文して、はたと気づいた。iPadがない! そうだ、トイレだ! 浅草駅に到着して校内のトイレに入った。その時、車内で開いていたiPadをカバンに入れるのをはしょってトイレで棚に置いたんだ。そのまま忘れて出てきて稽古に行っちまったんだ。それはほぼ9時半。もう2時間以上経っている。
お店のお姉さんに「忘れ物を取りにいってきますから」と荷物を置いてすぐそばの地下鉄にダッシュ。トイレに行くと、私が入ったトイレは使用中。そばにいた掃除のおばさんに「iPad見ませんでしたか?」と尋ねるも「見なかったわよ」と気の毒そうにおっしゃる。それでもあきらめきれずトイレが開くのを待つ。
「このトイレに入ったんです、手前に棚、ありますよね、そこになかったですかね」
「いやあ、気づかなかったけどねえ」
申し訳ないけれどトイレ使用中の方を焦らせてしまったかもしれない。それにしてはなかなか出てこない。ようやく出てきて確認したが、やはりなかった。
ガックリ…。
改札脇の女性駅員さんに忘れ物がなかったかどうか確認してもらう。
「それらしきものが届いているようです」
いやあ、ぷくぷくほっぺのおかめ顔の駅員さんが、天使に見えたのだった。
無事、引き取って中華屋へとんぼ返り。おいしい冷やし中華をいただいた。神さま仏様山の神様、ありがとう。
髪をとかさない女_f0207325_10344420.jpg

先週、カナダで犬ぞり師になった本多有香ちゃんが帰国し、我が家で1泊。彼女の自叙伝『犬と、走る』(集英社:1800円)が出版されて、諸々のインタビューを受けるため帰国したとのこと。おもしろおかしい、そしてちょっとせつない彼女のカナダライフを聞きながら飲み食べした翌朝、これからインタビュー会場に行くという彼女を見ると、肩より少し下まで伸びた髪がボサボサ。特に頭頂部は髪が交差しまくり。「髪くらいとかしなさい」とブラシと手鏡を渡すと、しみじみ「いやあ、気持ちいい。髪とかしたのしばらくぶりっすよ」だって。
数十頭の犬と暮らしているうちに犬化してしまったのかもしれない。それにしても毎日、髪をとかさない女がこの世にいるとは想像だにしなかった。

その数日後、山仲間のYちゃんが我が家に食事にやってきた。有香ちゃんに会いたがっていたYちゃんだったが、日程が合わなくて残念だったねえ、などと話ながら髪のエピソードを教えてあげた。
「……それって普通じゃないの? 私もとかしたことないけど」
Yちゃんは背中の中程まである天然パーマのロングヘアー。手ぐしでさっとならしてゴムで結ぶだけとのこと。
ひゃあー、髪をとかさない女がここにも。続けて判明して心底、驚いた。
私は物心ついてから、小さな頃は親が、それ以降は自分でほぼ毎日髪をとかす。休みだとそのまんまのこともあるけれど、外に出る時は一応、とかすよ。それが当たり前だと思っていたのに、いやはや世間は狭いようで広い。いろんな人が、いろんな暮らしがあるもんだね。常識と非常識の境目ってけっこう曖昧なのかもしれない。

我が家の前の家のハナミズキの花がもうすぐ終わる。例年、その白い花は本当に可憐で清楚で心が洗われたものだ。数年前、住んでいた60代のご夫婦が徐々に行動や言動がおかしくなり、昨年の前半からは誰も住む人がなくなった。たまに娘さんが家に風を通しに来ているようだが、めったに出会わない。そして秋、数人の若い庭師さんがやってきて庭中の木をばさばさチェンソーで切ってしまった。ご夫婦が住んでいる時は、折りあるごとに老齢の職人さんが数日をかけて丹精していた庭木が、見る間に丸坊主に。
そして、今年のハナミズキの花はまばらで寂しい。意気消沈しているような花々。この惨状をあの職人さんが見たら泣くだろうなあ。
木に命を吹き込む仕事ぶりというのを、あらためて感じ入った出来事だった。
by 4433yoshimi | 2014-05-02 10:34