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ご飯・空手・渓の日記


by 4433yoshimi
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幼子と母の情景

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土日だけ老人ホームで早番のお仕事を続けて1年半。先日、チームリーダーのHさんに「当初はすぐに辞めるだろうと思ってました」と打ち明けられた。何しろ、30年以上も編集の仕事を続けてきてまったくの畑違いだったので、そう思われても仕方ないだろう。ほぼ経験値ゼロだったしね。
うちの両親も吐渓の両親も元気で存命で、80代と90代。何かの折りには役立つだろうと思い、通信で一番簡単な資格をとったら、学校に仕事を紹介され、受けてみたら受かったものの、毎日できるわけもないので土日にだけなら、とダメ出しのように返事をしたら「それでもいいです」とのこと。よほど人手不足だったんだろう。
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夜が明ける前に家を出て、歩いて40分でホームに着く。本来はバス通勤なのだが、まだバスの始発前の時間なのだ。今頃の季節は歩いている間はずっと暗いままで、到着する頃に白み始める。4階の窓から、明けゆく空の群青色と紅色の攻防に見入ることしばし。そうして季節は徐々に移ろい、明るくなる時間が早くなったり遅くなったりして今日まできた。

先週の土日は、風邪をひいてホームをお休みした。冬はインフルエンザやノロウイルスがあるので感染防止対策が第一。私が行くのを楽しみにしている方もいるので、ちょっと後ろめたい。
昼間、おとなしく寝ていてふと、ある光景を思い出した。ホームの老人にカーデガンやセーターを着せかける際、彼らのほとんどが無意識にブラウスや下着の袖の端っこを反対の手で少し引っ張り、手のひらに握り込んで上着の中にたくし込まれないようにする。子供の頃から、母親に散々言い聞かされて育ったのだろう。老人が幼かった頃の母との情景をかいま見るようだ。それをなぞるように私は老女の腕に袖を通す。人間て、なんて愛しい生きものなんだろう。
30秒前、何を食べたかも思い出せない人が、上着を着せかけようとすると、キュッと袖の端を握るのである。そうした無意識の行為が感動的であるなあと思うこの頃。
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# by 4433yoshimi | 2014-12-17 10:38

じっと手を見る

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見ていたブログで手相の話が出てきたので、自分の手の平を見て驚いたよ。シワシワ。手の甲は、年とともに血管が浮き出て年を感じさせると思っていたが、手の平までそうだったなんて。肉が薄くなってる。特に親指の根本の、鶏の手羽先みたいでおいしそうだったところが、全然おいしそうじゃなくなっていた。なんか笑えた。

昨夜は仲良しのYちゃん&ご主人と一緒に晩ご飯。牛タンとリコッタチーズをいただいて、さっそく調理してみた。自分では絶対に買わない食材をいただくと、ちょっと不安。でも、とてもおいしくて、感謝。馬には乗ってみよ、人には添うてみよ、の境地なのだった。
Yちゃんとは介護の仕事の話で盛り上がる。まだ私は1年ちょっとしか携わっていないので、長年、看護師の仕事をしてきたYちゃんは、年下だけど大先輩。「うそー!」「ほんとー?」の続出で、いつしかストレスも解消されていたのだった。
介護と言えば、昔、仕事&飲み仲間だった知人が、母親介護ネタの4コマ漫画でブレイクし、某出版社から私にまで取材の依頼が来た。電話取材ならいいですよ、ということで、当たり障りのない話ですませた。言えないよ、あんなこと、こんなこと。強者どもが夢のあと。それにしても、人生、山あり谷あり。わかっているつもりになっていても、先のことなど予想がつかないのが人生なのだなあ、と彼を見ていてしみじみ思う。人様のことは言えませんが。
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先月、フードプロセッサが壊れた。というか、落として壊しちゃったのだけれどね。その昔、吐渓がネットオークションで3千円ちょっとで落としてくれたものだけど、とうとうおしゃかに。沼田の家の小さなのも今年、壊したし、やっぱりパワーがあるやつがほしい、と長年ほしかったアメリカ製のものをネットでポチッ。今日、届きました。
うれしかった。だって、容量が大きいから、今まで何回かに分けてた作業が一度で済みそう。直輸入のものなので、日本の正規輸入のものより格安。でも説明書が英語。でもそんなもの読まなくてもセットできたし、使い方もわかったのでやれやれ、と思ってプラグをコンセントに差し込もうとしたら、入らない。吐渓を呼んで見てもらったら、2つある差し込みの片方が幅が広いので入らないという。確かに、片方だけちょっとだけ広い。がっくり。
気を取り直してネットで変換プラグの検索をしたのだが、どうも差し込む方向が問題らしいとわかった。再びコンセントに立ち向かい、左右を逆に差し込んでみたら、あらら、入った。よくよく見ると、左の方が少し幅広なんです、コンセントって。それを逆に差してたから入らなかったんだ。
いやはや、簡単なことに蹴躓いて前に進めなくなってても、ちょっと方向性を変えるだけであっけなく解決しちゃうんだよなあと感動したのだった。

今日は一日中雨。ビールを買いに歩いて3分のコンビニまで行った以外、終日自宅。空き瓶やストック食品の整理もしたし、糠床や、先週漬けたキムチの様子を見たり、普段できないことをゆったりできるのがありがたいお休みの日なのだった。
# by 4433yoshimi | 2014-11-25 20:08

茸の秋を満喫

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北海道在住の両親は92歳と80歳。ふたりともとりたてて悪いところはなく、広い家でふたりきりで住んでいる。近年、父のボケが進行してきて母の心労が絶えないようだが、まだ大丈夫とのことで甘えているのである。

そんなふたりが、神奈川県に購入した弟の新居を見ようと上京。私は彼らを羽田から弟の自宅まで送り迎えしたり観光に連れ出したりとけっこう忙しい日々を過ごした。

確かに父の物忘れはひどくなっていたし、少し前のことを失念して同じ事を何度も尋ねたりする。それでも食事、トイレ、着替え、風呂に至るまで生活に関してはすべて自立しているのでたいしたものだ。母はヒザ関節を痛めているので歩行に関してはトラブルがあるが、頭脳明晰、かくしゃくたるものである。ふたり合わせてなんとかなっている、取り合わせの妙を神に感謝のカップルだろう。
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それに比べ弟の家庭は、まるでガラス細工というか砂上の楼閣というか、はなはだ心許ないチームだった。それぞれが忙しすぎて心がバラバラな感じ。自分のことで精一杯なのはわかるけれど、ギリギリすぎやしないかい? 都心の私立の学校に通っている中学生と高校生のふたりの子どもの忙しさたるや、猛烈サラリーマンよりも過酷。家には飯、風呂、睡眠のためだけに帰宅しているようなスケジュール。朝5時には出て、帰宅は夜の9時前後ってすごくない? のんびり田舎で育った私には、都会の学生のせちがらさに驚かされたのだった。精神の均衡が破綻するのも当然だろうよ。
ただ、私とて働き盛りの頃は、命を削って仕事をしていたのだから、誰もが通る道なのかもしれないけれど。でも、せめて成人してからにしてほしいと思う。

もう仕事もリタイアする年となった今となれば、生きていくのに本当に大切な事はシンプルなのだと了解している。息すること、食べること、笑うこと、寝ること、そうした普通のひとつひとつを大切にすることで命は輝く。いつでも原点に立ち返る、それを教えてくれた渓や山に感謝。
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# by 4433yoshimi | 2014-11-21 15:22

干物三昧

今年は紅葉を求めていくつかの山を巡った。群馬、栃木、長野、と場所は変われども山々を彩る様はそれほどの違いはない。ただ眺めているだけだから。それに比べて釣りや山菜や茸となると、直接、山との会話となるのですこぶる楽しい。ドキドキする。見ているだけでは物足りない。自然とのやり取りは、人間とのやり取りよりもドラマチック。あと少しで山にも雪が。私の山とのかかわりも終わりとなる。冬眠するだよ。命の芽吹く春を夢見て。
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冬支度はいつも衣替えから始まる。オフシーズンの衣類はロフトにしまっているので、何度かはしごを往復しなければならない。冷え込んでくるのに従って、何度か降りたり登ったり。あと何年、このはしごを使えるのだろう。70歳になっても大丈夫かな、80歳は無理かも、などと思案しつつ、90歳を越えた父がまだ自転車に乗っていることを思えば、いけるかもしれないと思ったりもする。知らないうちに時は過ぎていく。

また今年も明石に住む従姉から、日本海産の干物が送られてきた。昨年から、兵庫県の香住で行われる日本海フェアに出かけるようになったのだ。従姉は長年、義理の叔父夫婦の面倒を見てきたが、一昨年、二人とも亡くなり、子供がいなかったため、遺産は従姉の家に残されたのだという。しじゅう野菜や魚を送ってくれるので「申し訳ないからいいよ」と言うのだが「けっこうな遺産が入ったから大丈夫なんよ」とのこと。以前はなかったことだが、よく旅行に行ったり趣味のサークルで楽しんでいる様子。大変な思いをしてお世話していたのを知っているだけに、本当によかったなあと思う。幸せのお裾分けに感謝。
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今日の朝昼ご飯のおかずは当然、干物である。とてもおいしかったのだけれど、軽かったせいか、すごい空きっ腹が普通の空きっ腹に。吐渓が「ラーメンでもいけるよ」と不満そうに言うので、粉少なめのお好み焼きを焼いた。具はキャベツとネギと香住のイカの干物。やっぱりイカが一番先になくなりそう。おいしいものはおいしいうちにいただくのがよろし。
# by 4433yoshimi | 2014-10-21 16:38
とうとうウチのお向かいさんが更地になった。私がこの家に越してきたのが20年以上前のこと。10年ほど前にお向かいさんは古い家を壊して庭だった敷地に新築。ウチのウサギ小屋が4件ほど建つくらいの敷地で、家ももちろんとても立派で、お金がかかっていそうなお宅だった。その時の建築屋とのトラブルで奥さんがパニック症候群になったと愚痴られた数年後、毎日ハイヤーで出社されていたご主人が脳梗塞で半身不随に、ほどなくして奥さんがどうやら認知症らしいなあと思っていたところ、お二人ともいなくなり、空き家となって3年くらいか。時折、結婚して家を出られていた一人娘が時折、家に風を通しに来ていた。そのうち中古住宅として売られ、誰かが越してやってくるのだろうなあと思っていた。まだ家もしっかりしているし、敷地も広いからけっこうな値段で売れるだろう。なのに、ある日、業者からの解体のお知らせが我が家のポストに入れられていた。
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その日から、徐々に壊されていく家を見ていた。最初に売れそうな備品が次々と運び出されていき、搬出のために塀が一部崩され、立木も一部チェンソーで切られ、片側の壁がなくなり、むき出しになった家の骨組み。まだしっかりしたその様を見ていて「もったいない、もったいない」とつぶやく日々。敷地の周りの木々は、きっとそのまま残されるのだと信じていたが、吐渓は「全部なくなるよ」とにべもない。そんなはずはないと思い続けたが、家がすっかりなくなると、すべての木々がチェンソーで切られ、根も掘り起こされ、産廃トラックで運び出された。
なんてことだ。今が盛りと咲いていたキンモクセイも、毎年、春を知らせてくれたハナミズキも、隣家との境となっていた生垣の樹木さえ、すべて刈られてしまった。音もなく木々が泣いているような気がした。ご夫婦が元気な頃、通われていた庭師のおじいさんがこれを見たら、泣くに違いない。開発とか、お金儲けって、こういうことなんだなあ。きっと業者が分割して建て売りで売られるんだろう。まあ、我が家も同様にして売られた建て売りだから、天に唾するようなものかもしれないが。
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今日は台風18号が東京に上陸するという。昨日からの雨が徐々に激しく、風も強くなってきた。お向かいの更地は柔らかい盛り土に水たまりがいっぱいできている。春だったら数日で雑草で被われてしまうだろう。だからこの時期に解体されたのかもしれない。
空気がしんしんと冷えているので、辛いキムチうどんを作った。食べ終わると確かに温まった感じ。ああ、よかった、こんな日に歯医者の予定を入れていなくて。そう考えると気持ちが明るくなる。
よかった、銀行に行く用事がなくて。よかった、買い物に行かなくても食べ物があって。よかった、キノコ狩りの予定がなくて。よかった、今日がゴミ出しの日じゃなくて。
大型台風とのことでテレビやラジオで注意を呼びかけているけれど、そのせっぱ詰まった感じよりたいしたことがないような気がするのは私だけ? 直ちに影響があるものに関しては過剰なのかもしれないね。
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# by 4433yoshimi | 2014-10-06 10:13