ご飯・空手・渓の日記


by 4433yoshimi
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夕闇と夜のアンフラマンスに魔が潜む

JR高円寺駅から徒歩2分の食べ飲み処「眉山亭」のママに誘われ、『佐倉・美術館とグルメの旅/5000円ポッキリ』に参加した。企画されたのは、仕事で川村美術館に関わっていらっしゃるお店の常連・Nさん。

午前10時すぎに高円寺駅に集合した7名は、千葉県・佐倉に向けて出発した。それぞれ何事にも一家言を持ち、無頼の気風を好む自由人(勝手気ままなワガママ女&男達)、乗り換えで違うホームに行っちゃった人、呼べども叫べども行方不明の人、トイレに行きたいけど間に合うかしらと焦ってる人、引率するNさんのストレス値を徐々に上げつつ、電車は隅田川を越え、荒川を越えて千葉に進む。
私の心はすでに昼食に予約したというそば屋へ。ガッツリ「カツ丼そばセット」でいきたいきれど、上品なそば屋だとご飯物はないだろうから、かき揚げでボリュームアップを図るべきか……。悩みつつ目を上げれば、車窓は雲ひとつない青空の下、住宅街から田園へ、時にはこんもりとした森に変わったと思ったらショッピングモール、と次々に変わっていく。やはり、大盛りでいくしかないと心に決めた。

1時間半ほど経過して京成佐倉駅に到着。
ここから徒歩で美術館の送迎バスが出るJR佐倉駅まで名勝を巡りつつ散策する予定だ。
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まずは長嶋茂雄が通っていたという佐倉高校へ。明治時代に建てられた洋風建築校舎(国の登録有形文化財)はサーモンピンクの壁に白い窓枠、とまるで砂糖菓子のよう。女性陣から思わず「かわいー!」と声が挙がる(そんなことを意図してはいないのでしょうが)。
そしていよいよ待望のそば屋へ。Nさんお勧めの刺身や天ぷらなどが組み込まれたコースのページをすっ飛ばし、ラストページに「カツ重せいろセット」発見! 心の中でガッツポーズ。連休の中日で店内は満席てんてこ舞い状態。焼酎のお湯割りが忘れられようが、そばが出てくるのが遅かろうが、そばの水切りが今イチだろうが、すべてカツ重のおかげで許せたのだった。田舎の普通のそば屋が大規模になって観光客ご一行様もOKになったはいいが接客が元のまんま的な気安いそば屋で良かった。

そこからいよいよ本格的な観光開始。佐倉七福神巡りのお年寄りグループや家族連れの中に混じりつつ、寺や土産物屋を巡る。到着するたびにそれぞれ、てんでバラバラに好き勝手な方向に歩いていくのだが、いつのまにやらまた集合して次へ向かう。Nさんの暗黙の「行方不明になるではないぞ」の縛りが効いていたようだ。
そしてハイライトの武家屋敷へ。 旧河原家住宅・旧但馬家住宅・旧武居家住宅(3館まとめて入館料210円)は、屋敷というには規模も小さく、いかにも武士らしく質素なたたずまいだ。茅葺き屋根の下の板敷きの縁側に立って家の中を吹き渡る風に吹かれていると、気持ちいいのなんの。やっぱり昔の家は、寒いけれど体の細胞に優しい。周囲の竹林も見事で、その間の坂道を下っていると、往事の人の気分になれた気がした。タケノコがいただける春がどんなに待ち遠しかったことだろう。
その近くのお寺の布袋様が吐渓(福岡に出張中)にそっくりだと皆、ニッコリ。
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そしていよいよお目当ての川村美術館へ。Nさんが関わっておられるのは、翌日まで開催されている展覧会『月光のアンフラマンス』。アンフラマンスとは、ある状態が次に移行する微妙にして芸術的な境界域のことだそうだ。芸術的を覗けば、韓国と北朝鮮を隔てる板門店、もしくはハヤシライスとカレーライスの合い盛りの境目のようなものだろうか。眉山亭のママさんは美術館を包む暮れゆく空をしきりと「アンフラマンスだわ~」と陶酔していた。
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想定外だったが、常設展示コーナーでピカソやシャガール、レンブラントなどの巨匠の作品が見られた。やはり本物の味わいは奥深いものだなあと感服。画集でした見たことのなかった絵の数々に眼福のひとときを過ごした。

帰路は最終バスで駅に向かう予定だったが、時間が余ったので30分前のバスに変更しようとするも、Nさんが館内中を走り回って流した汗の甲斐なく1名発見できず。疲労困憊でちょっとうつろな感じのNさんとともに、当初予定のバスに乗り込んだ。

そのまま高円寺に戻って一杯やって解散しようと言う我々を、「ここの庄屋は都内と違って刺身がべらぼうにおいしいから」とまるで拉致するように向かった駅前の庄屋。満席だった。意気消沈のNさん。「近くに居酒屋がありますから」ととぼとぼと歩き出した彼の、疲労感と哀愁がにじむ背中。もはや誰も止めようとはしなかった。付いていくぜどこまでも、アニキ!

その居酒屋は、元は寿司屋だったけれど不況のため居酒屋に転向した様子がありあり。元は「まぐろ」だの「鯛」だの「鰺」だのと書かれた涼やかな木の札が下がっていた天井直下の壁のボードには「煮込み」「お新香」「鶏の唐揚げ」などの札がぶら下がっている。
「あんまり高いのは注文しなくていいじゃない」
と会費から足が出るのを心配する我々を無視して「ミル貝の刺身とイシガキダイの刺身2人前ずつ」とオーダーするNさんの頬は心なしか紅潮し、鼻息も荒かった。
「あ~あ」と思ったのは確かである。しかし、ブツが出てきてNさんは一発逆転ホームラン! 新鮮でシコシコしていて、美味しいのなんの。よかったねNさん! やはり「馬には乗ってみろ、人には添うてみろ」だなあ。

大満足で佐倉から高円寺へ。もう夜もとっぷりと暮れている。しかも休日の駅前は閑散としていて、さっさと解散して家に帰って風呂に入って寝よう、そのほうが絶対にいいと思いつつも、バッカスの神に惑わされたかのように路地裏のスナックの扉の向こうへと消えた5名に私が含まれていたことは言うまでもない。
楽しかった1日の終わり。たとえ明日、地球が滅ぶとわかっていてもここでこうしているだろう。ただの酔っぱらいの戯言ですが。

ああ、楽しかった!
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by 4433yoshimi | 2010-01-11 16:24