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ご飯・空手・渓の日記


by 4433yoshimi
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ひたひたと秋が

ひたひたと秋が_f0207325_14571858.jpgそれほど激しく空腹でなく、ゆったり食事をしたい時に行くのが中野の鍋屋横町のそば屋「まつや」。もう80歳過ぎとおぼしき白髪痩躯の店主が、吐渓が行くと、おしゃべりをしにフロアに出てきてくださる。そのたたずまいがなんともいい風情だ。まっとうな職人さんらしさといい、上品さといい、しかも人情味にあふれている。思わず苦手ながらも日本酒を飲みたくなるってもんさ。

ゆるゆる、酒を飲みながら鴨焼き(これがまた絶品)を食べていると、向かいのマンションに住むひとり暮らしののおばあさまが来店。頭も目も体もしゃんとしているけれど、さすがにご飯を作るのはおっくうらしく、まつやで食べることが多いらしい。その日は、お店の人と「おそばもいいけどご飯にしようか」とか「それだと食べきれないから」とか話しながらようやく決定して、親子丼をお持ち帰りに。そうして日々、会話をしたり体をいたわってもらったりすることが、ご飯を食べる以上に大事なんだろうな。

その日は台風が上陸した日。おばあさんは、まつやが営業するかどうかマンションの窓から見て待ちかねていたそうな。

翌日である昨日、明石の魚棚の近くに住む従姉が送ってくれたはせ蒲鉾店の天ぷら各種到来。ここの天ぷら
は、瀬戸内海の魚を使用していて、いかにも関西らしいちょいと柔らかめのサツマ揚げなのである。本来は、さっとあぶって生姜のすったのを薬味にして食べるのが王道。
私は夕刻、仕事から空手の稽古に向かう地下鉄の乗り換えが三越前だったので、久しぶりに三越本店に寄ってみた。ここは何年か前、デパートの祭事のバイトをしていた時に、数週間、働いたことがある。驚いたのは、社員食堂の充実ぶり。ちゃんとした寿司職人のおじいさんが握る寿司あり、打ち立てのそばあり、で他の数多のデパートとは格もプライドもハンパではなかった。社員同士が使う符丁も、歴史を感じさせるものだった。
ひたひたと秋が_f0207325_14561293.jpg

さて、放射能汚染された魚も野菜も避けたい私としては、スーパーやデパートではかなり吟味して買うほうなのだが、ここ、三越本店の商品の充実ぶりに圧倒された。しかも、ものがいいことおびただしい。魚は若狭湾の干物コーナーであるとか、いやはや、なんともはや、素晴らしいのひと言。さぞかし食料品コーナーのマネジャーは凄腕の方なのだろう。新宿三越とは全然違うよ。
といっても値段はそこそこなので、厳選して買うことにした。とりあえず大根。ここのところおいしい大根に巡り会ったことがないので、清水に舞台から飛び降りた気持ちで480円の北海道大根を購入。でも、ものすごく大きいんだよ。通常の大根の3本分くらいある立派な瑞々しい大根で、私は無理矢理空手着の入ったリュックに押し込んだのさ。いやー、重かったのなんの。
稽古が終わって帰宅し、大根おろしに従姉が天ぷらに同梱してくれたちりめんじゃこをバサッと振りかけて食べたら、ものすごくおいしくてめまいがした。チリメンもおいしいけれど、こんなおいしい大根、初めてかもしれない。

というわけで、今日、私はこの秋初めてのおでんを作製。なにしろおいしい大根と天ぷらがあるんだもの、それっきゃないだろ。コンニャクとゆで卵も。
ネットで練り物屋さんの“おいしいおでんを作るコツ”まで調べて作りました。
いやー、やっぱりものすごくおいしい大根だった。この大根が食べたくて、私よはまた三越に行っちゃうだろうと思う、この秋。
# by 4433yoshimi | 2013-09-19 14:59
目新しい食材は楽しい。山口県から贈っていただいたハモ、湯引きと天ぷら、煮付けにしたが、まだ残っている。沼田の家にも持ち込み、続いて探求。
ハモのバタームニエル最高でした_f0207325_13545194.jpg

実はその数日前に、熊本県から豆腐と油揚げを取り寄せた。スーパーで流通している豆腐の原料はほとんどが海外の遺伝子組み換え大豆と知り、熊本の大豆で熊本で作ったものを食べてみたいと思ったのだ。いやはやこれが、かなりワイルド。豆腐も堅めで、重いし、味が濃厚。私はどちらかというとふんわりと柔らかい豆腐が好きなので、好みのタイプとは違うけれど、これはこれでいいのだろう。油揚げもこちらの厚揚げと見まごうほどの厚み。どうしてもいなり寿司が食べたかったので、強引に厚い三角揚げの油揚げで作ってみた。
やっぱりこれは失敗だよなあ。私としては食べたかったいなり寿司が食べられたので納得はいくが、吐渓は、果てしなく??????だったようだ。まあ、食文化というのは、同じ日本であっても九州と関東ではかなり違うということか。
ハモのバタームニエル最高でした_f0207325_13551659.jpg

さて、ハモである。今回、調理した中で一番のヒットはバタームニエル。これは素晴らしくおいしかった。骨切りされた細かな骨も気にならないし、バターの風味で身もコクが増しておいしいのなんの。フライにしてもかなりいけるだろう。どちらにせよ、ハモは洋風料理が似合うと激しく納得。一緒にいただいた舌平目が、意外なことに和風の煮付けがおいしかったように、食材は作ってみなければ、食べてみなければわからない。
ハモのバタームニエル最高でした_f0207325_13554591.jpg

取り寄せた送料無料油揚げ豆腐があまったので冷凍に。木綿豆腐は、凍らせると高野豆腐のように煮物にするといいらしい。最後の残りのハモと一緒に韓国風にニンニクたっぷり、コチジャンと一緒に煮てみたら、いやはや、いいじゃないの。酒の肴に最高。ご飯のおかずだったらもっと濃い味にするけれど、私としてはこのくらいがジャスト。京都出身の母、いうところの凍らせ豆腐に煮汁がしゅんでるところがたまらなくいい。

それにしてもまたどうしてこんなに暑さがぶり返したのか。9月の渓の予定と台風の進路を見比べる今日この頃。
# by 4433yoshimi | 2013-09-02 13:55
舌平目の煮付けはおいしい!_f0207325_10223918.jpg
日本海の海産物をいただいた。北海道育ちの私にとって、ハモと舌平目はなじみがない。昔、食べ物のエッセイを読んで、どうしても食べてみたくなり、魚屋で舌平目を買ってきてムニエルを作ったことがあったが、処理の仕方が悪かったのか臭みがあってまずかった。ハモに至っては、料理屋さんでほんの一口、味わう間もなく胃に消えた記憶しかない。
さて、どう料理したものか。

ハモは湯引きと切り身の2種類。湯引きの半分はオーソドックスに、パックに入っていた酢みそでいただき、半分は天ぷらで。切り身は土鍋で煮付けた。味付けはみりんと醤油だけ。
なるほど、ハモというのはとても淡泊な魚だから、どう味付けをするかがキモの繊細な食べ物だということがわかった。湯引きには梅肉だれが定番だそうだが、なるほど、夏の風物詩にふさわしい。
舌平目の煮付けはおいしい!_f0207325_10221472.jpg

初めて料理したハモはとてもおいしかった。けれど、それ以上に感動したのが舌平目。贈ってくださった方のお勧め通り、煮付けてみた。
一口食べて、故郷のカレイの味を思い出した。311以来、太平洋のカレイやヒラメなど底物魚は食べていなかったから、本当に久しぶりの懐かしい味にホロリときた。子供の頃、叔父が海で釣ってきてくれたカレイはとびきりおいしかったものだ。豊かな海が汚染されてしまった。本当に人間は愚かだなあ。そのうちに天罰が下されるだろう。

実家に電話をすると、留守番をしていた父が意味不明の被害妄想的戯言を延々と話す。それは勘違いだと言っても聞く耳を持たず、元もと頑固というか執着が強い性格だが、加齢によるボケのせいでますます意固地になっている。それは父親似の私にも思い当たる個性なので、そこに至った苦悩がわかるすぎるくらいわかってしまって、自分の将来が不安になるのである。人に疎まれないように気をつけなければ。いやはや、一緒に暮らす母の気苦労はいかほどか。
翌日、母にねぎらいの電話を掛けると、気丈な母は「まだ大丈夫」とのこと。「ギブアップしてもいいんだよ、あとはなんとかするから」と言ってみたが、お互い、解決策がないとわかっているだけに、むなしい。誰かが耐えるしかないのである。
それでも父のいいところはいっぱいあるし、とても慈しんで育ててくれたので、出来るだけのことはしたい。でも、現実には離れて暮らしているので親不孝だよね。秋になったら帰ってみよう。
土日はバイトで高齢者の方のお世話をしている。仕事だからどんな状況でも気楽に耐えられるが、自分の親が相手だと、ケンカしちゃうかもね。
# by 4433yoshimi | 2013-08-28 10:24

電気製品の故障の不思議

先月、沼田の家のウォシュレットが使用中にバキッと音がしたと思ったら作動しなくなって故障。便器と分離型だったらはずして新しいのを買ってきて付け替えるだけでいいけれど、不運なことに一体型。メーカーに連絡したら修理可能だろうとのことで、来週、来てもらうことになっていた。なにしろ沼田の家には思いついた時に行っているので、行ける日をあらかじめ設定するのは躊躇する。というわけで1カ月以上も先の修理となったわけだが、幸い、トイレは2カ所あるので問題ないと思っていた。ところが……。
電気製品の故障の不思議_f0207325_1936473.jpg

なぜか今週、悪天候のためリタイアした白根山にリベンジに行こうと思い立ち、吐渓を誘った。白根山は沼田の家から近いので、前夜、沼田へ。そこでなんと、2台目のウォシュレットも同じ症状で故障。いやーよかった。もしも来週の修理日まで来ていなかったら、修理してもらった直後に2台目も、という泣ける状況になっていた。メーカーに連絡して2台同時に修理を依頼。出張費1回分ですむんだ。よかったよかった。もしかするとこのために沼田に家に呼ばれたんじゃなかろうかと思うくらい。
昔、私がまだ学生だった頃、修学旅行でみてもらった占い師に「あなたは乗ろうと思った電車に乗り遅れたら、その電車が事故にあって乗らなくてよかった、という運だ」と言われたことを思い出した。昔のことはたいがい忘れているが、その言葉だけは何度も思い返す。確かに、そうかもしれないなと。
電気製品の故障の不思議_f0207325_19362334.jpg

白根山は、無事、登頂5分前地点前まで行けた。しかし、あまりにも私にとっては嫌いすぎる岩場の山頂だったのでパス。高所恐怖症なのである。昨年は、山仲間に騙されて赤岳にチャレンジしたが、登頂15分前の細い岩場の登山道前でかたくなに登頂を辞退するも、仲間に強引に拉致されて山頂まで行ったとさ。本当に生きた心地がしなかった。
思い返せば、元々高所恐怖症だったところに、15年前くらいに北アルプスで遭難し、山中をさまよっていた折り、本当に靴幅しかないような両側切り立ったナイフエッジを10メートルほど、確保なしで一人ずつ渡ったことがトラウマになっているせいもあるんだろう。いろんな意味で人間不信に陥った遭難事件だった。

昨日、東京に戻って今朝、久しぶりに空手の稽古に行った。数週間ほど右肘が痛かったのだが、稽古をしたら完治。不思議だ。肘が空手の動きを求めていたんだろうか。稽古を終え、久しぶりに浅草道場の近くにある神谷バーへ。もちろんビアランチ(メンチカツとトマトシチューと揚げ魚の酢漬けと生野菜)を頼んで、さらにビールを追加。ああ、なんて幸せ!
土日シフトの仕事を始めて平日クラブになって以来、生きるのが少しだけ楽になったような気がする。

北海道の実家に電話をすると、母が嘆く。
「お父さんたら汚染されてるからもう一生、魚は食べないって言うんだよ。私は食べる。オホーツク産のなら大丈夫だよね」
今年90歳の父と70代の母が、海の放射能汚染で侃々諤々。いくつになっても生きることに、食べることに真摯であり続けられるって素敵だ。
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# by 4433yoshimi | 2013-08-22 19:36
恵みいっぱいの魚野川から_f0207325_8342770.jpg
先週、毎年恒例の上信越国境・魚野川3泊4日完全遡行完了。例年はどこかで必ず雨に降られたものだが、今回は一滴の雨もなく、晴天続き。水量も入渓直後は多めだったものの、日に日に減少。おまけに集中豪雨の爪痕か、大淵も土砂で埋まっているところが多く、胸まで浸かったり泳いだり、の寒い思いをしなくてすんだ。そう、東京では水浴びしたいほど暑いけれど、魚野川の水は冷たく、吹く風も涼やかで、夜など寝袋に入っていていても冷える。ああ、なんて快適な自然環境。低めの気温のせいか蚊もほとんどいない。まあ、ブヨくらいは大目に見なくちゃね、の余裕の心。
恵みいっぱいの魚野川から_f0207325_8345668.jpg

今回は、イワナ料理のレパートリーを拡げてみようと、いくつかの新メニューを作ってみた。
まずは初日にイワナのチーズ焼き。三枚に下ろしたイワナに軽く塩コショーして粉をはたいてソテーし、溶けるチーズをのせてフライパンで蒸したもの。いやはや、たまげるほどおいしかった。チーズの濃厚さとイワナのうまみのコラボレーション(笑い)ですか?
残ったチーズは、翌朝、イワナ汁にご飯とタマネギを入れて煮込み、チーズを投入してチーズリゾットに。淡泊な雑炊がボリュームアップで大満足。

もう一品は、ドジョウ鍋風。三枚に下ろしてドジョウくらいの大きさにカットしたものをフライパンに敷き詰め、イワナが浸るくらいめんつゆを入れ、その上にゴボウの皮むき器で細長くしたものを大量に乗せる。そこにフタをするのだが、ゴボウでふたが閉まりきらないのを石で重しをして蒸し煮に。ゴボウがしんなりしてフタの収まりが良くなったらイワナとゴボウをほどよく並べ、その上にネギの小口切りを大量に乗せて再びフタをして数秒で完成。
いやはや、これまたドジョウ鍋より上品な味で絶品。ただ、イワナが煮崩れてしまうので、事前に片栗粉をまぶして吉野打ちにするほうがいいかもしれない。これは次回の仮題だね。

夕餉をにぎわせてくれたのは、入渓前の林道でいただいたオオイチョウタメとチタケ。オオイチョウタメはベーコンと炒めて、チタケはチタケご飯にしていただいたのだが、これはもう何とも表現のしようがないくらいのおいしさだった。自然の恵みは、どんな凄腕の料理人でもかなわない驚きと喜びに満ちた美味を与えてくれる。人間はどうしたって自然にはかなわない。いくら改良しようが遺伝子を組み替えようが、小手先の人間の技術なんて、長い長い地球の歴史から見れば、やがては消えゆく突然変異のようなもの。山と渓の恵みに生かされて過ごす時間は、心も体も豊かにしてくれるんだよなあ、感謝。

全員、怪我なく楽しく帰ってきて、里は正にお盆。いつもより少し静かな東京で、日に日に盛夏をすぎていくのを感じたりして仕事もしたりして。
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# by 4433yoshimi | 2013-08-15 08:36